昼蛙トランスレーション

主にゲーム・音楽関連の翻訳トレーニング置き場。

【英語歌詞】the Vandals "Oi to the World!"【日本語対訳】

パンクロックのクリスマスと言えばthe Vandals。

何曲もの「ホリデーシーズン」をテーマにした曲を作り、クリスマスにはそれをコンセプトにしたライブも行う、お祭り野郎共です。

punkmart.ocnk.net

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その中でも1996年に発表した6枚目のアルバム"Oi to the World!"は彼らの代表曲のひとつといっても過言ではない人気です。

クリスマスに起きたむさ苦しいパンクスの物語ですが、歌詞をじっくり読んでもなかなか理解の難しいものでした。それもそのはず、「Oi」「スキンヘッド」「パンクス」といったロンドンパンク史のキーワードを背景にもった物語で、訳出作業のウン倍の時間をかけてパンクの歴史の勉強をするはめになりました。クリスマスなのに。

 

というわけで、歌詞と対訳はこちら。

 

Haji was a punk just like any other boy    
ハジは他の連中と何も変わらないパンクスだった
And he never had no trouble 'til he started up his Oi band    
トラブルとも無縁だった Oiのバンドをやり出すまでは
Safe in the garage or singing in the tub    
ガレージでほどほどに遊び 風呂場で歌う日々だった
Til Haji went too far and he plugged in at the pub    
それももう終わり ラインを飛び越え 酒場で歌うようになった
It was a cold Christmas eve when Trevor and the skins    
クリスマスイブの寒い日 トレヴァーがスキンズ仲間と店に寄った
Popped in for a pint and to nick a bag of crisps    
1杯引っかけついでに チップスを1袋失敬する
Trevor liked the music, but not the unity    
音楽は気に入った でもパンクスとつるむのは御免だ
He unwound Haji's turban and he knocked him to his knees    
トレヴァーはハジのターバンを剥ぎ取って 膝蹴りを1発喰らわした
    
[Chorus]    
If God came down on Christmas Day    
クリスマスの日に神が降臨するとしたら
I know exactly what He'd say    
こう言うことはわかりきってるのさ
He'd say, "Oi to the punks and Oi to the skins    
「Oiよ パンクスに在れ スキンズに在れ
And Oi to the world and everybody wins"    
Oiが世界に在るならば 誰もがうまくいくだろう」
    
Haji was a bloody mess, he ran out through the crowd
血を流して半狂乱のハジは 人ごみの中へ駆け込んだ
He said, "We'll meet again, we are bloody, yet unbowed"    
「覚えてやがれ 血は流してもまだ負けちゃいねえ」
Trevor called his bluff and told him where to meet    
トレヴァーはハジの挑発に応じ 決闘の場所を指定する
Christmas day on the roof down at 20 Oxford Street    
クリスマスの日 オックスフォードストリート20番地のビルの屋上
    
[Chorus]繰り返し
    
On the roof with the nun chucks, Trevor broke a lot of bones
屋上でヌンチャクを振り回し トレヴァーは何本もの骨を叩き折った
But Haji had a sword like that guy in Indiana Jones    
それでもハジはあの「インディ・ジョーンズ」の剣士のように刃物を構える
Police sirens wailing, a bloody dying man    
パトカーのサイレンが鳴り響く 血まみれの死にかけた男
Haji was alone and abandoned by his band    
ハジは独りきり バンドにも見捨てられた
Trevor was there fading and still so full of hate    
トレヴァーはまだそこに ほうほうの体 それでも嫌悪の火は消えず
When the skins left him there and went down the fire escape (Oi, oi)    
スキンズ連中はトレヴァーを置いて非常階段から逃げていった
But then Haji saw the north star shining more then ever    
そのときハジには これまでよりも輝く北極星が見えた 
So he made a tourniquet from his turban saving Trevor
だからターバンで血止めを作り トレヴァーを助けてやった
They repelled down the roof with the rest of the turban    
2人はターバンの残りを使って屋上から飛び降りると
And went back to the pub where they bought each other bourbon
酒場に戻って お互いにバーボンを奢り合ったとさ
    
[Chorus ×2]繰り返し

 

 

パンクス小僧とスキンヘッドという、互いに排斥しあう関係にあった両者が、クリスマスの夜に壮絶な殴り合いのケンカをする。

終いには2人とも互いの仲間から見捨てられてしまうが、殴り合い、認め合った2人の間にしかない友情が生まれた…という「パンク寓話」でいいのかしら。全然違うかもしれませんね。

ほろ苦く、痛々しいながらも、温かみのあるシニカルな物語。2000年に再リリースされた版のジャケットに描かれた、ターバンを巻いたチビの「Haji」と、スキンヘッドの「Trevor」と見られる2人が、ボコボコのツラをしながらも肩を組んで笑顔になっている絵が印象的です。

https://www.amazon.co.jp/Oi-World-12-inch-Analog/dp/B00004TD30/ref=sr_1_10?__mk_ja_JP=カタカナ&crid=WZXXDAGC0YSJ&keywords=oi+to+the+world&qid=1703484706&sprefix=oi+to+the+worl%2Caps%2C185&sr=8-10

何はともあれ、来年2024年3月には、「Punk Spring」であのNoFXのファイナル来日のお供で来るのが楽しみですね。きっとこの曲もやってくれるんじゃないでしょうか。

 

それでは、メリークリスマス。